トップ / 発言語録 / 著書「美しい国へ」から安倍晋三語録 / はじめに

発言語録

著書「美しい国へ」から安倍晋三語録

はじめに ― 「戦う政治家」「戦わない政治家」

  • -

政治家の中には、あまり政策に興味を抱かない人がいる一方、特定の政策については細部までつき詰める人たちもいる。政局になると力を発揮する人もいるし、そうしたことには一切興味を示さない人たちもいる。かつては自民党に「官僚派」と「党人派」という区分けがあったが、現在は「政局派」と「政策派」という分け方ができるかもしれない。その意味では、若手議員のほとんどは、かつてと比べて政策中心にものを考える傾向が強くなっているのではないだろうか。

時代は変わったが、わたしは政治家を見るとき、こんな見方をしている。それは「戦う政治家」と「戦わない政治家」である。

「戦う政治家」とは、ここ一番、国家のため、国民のためとあれば、批判を恐れず行動する政治家のことである。「戦わない政治家」とは、「あなたのいうことは正しい」と同調はするものの、けっして批判の矢面に立とうとしない政治家だ。

わたしが拉致問題について声をあげたとき、「右翼反動」というレッテルが貼られるのを恐れてか、運動に参加したのは、ほんの僅かな議員たちだけであった。事実、その後、わたしたちはマスコミの中傷の渦のなかに身をおかざるをえなかった。「応援しているよ」という議員はたくさんいたが、いっしょに行動する議員は少なかった。「戦う政治家」の数が少ないのは、残念ながら、いつの時代も同じだ。

1939年、ヒトラーとの宥和を進めるチェンバレン首相に対し、野党を代表質問に立ったアーサー・グリーンウッド議員は、首相の答弁にたじろぐことがあった。このとき、与党の保守党席から「アーサー、スピーク・フォー・イングランド(英国のために語れ)」と声が飛んだ。グリーンウッドは、その声に勇気づけられて、対独開戦を政府に迫る歴史的な名演説を行ったという。

初当選して以来、わたしは、つねに「戦う政治家」でありたいと願っている。それは闇雲に戦うことではない。「スピーク・フォー・ジャパン」という国民の声に耳を澄ますことなのである。

ご意見・ご感想の募集

ご意見・ご感想をお待ちしております。
衆議院議員第一議員会館 安倍晋三事務所

ご意見・ご感想を送る

このページのトップへ